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大衆化し特権失う共産党員、なおめざす学生も

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【基礎研究・中国共産党③】党員なら大学入学や就職にいまだ有利

公開日: 2020/07/20 (ワールド)

紅領巾=CC 紅領巾=CC

ニュースソクラ編集部

 中国の少子高齢化と共に、中国共産党の少子高齢化が進んでいる。このように指摘する声は少なくない。

 中国政府の統計を見てみると、2019年の61歳以上の党員は9000万人中2657万人で全体の30%に及ぶ。2013年の統計を見てみると、60歳以上は8668万人中2304万人で全体の26.5%であり、わずかだが高齢化が進んでいる。

 2013年の統計によれば、当時8668万人のうち、文化大革命期から2002年の第16次中共全国代表者大会前までに入党した者は4957万人を占めている。

 現在は、自然な高齢化が進んでいるだけと見ることができる。
だが、党としては若者不足が深刻なようだ。2012年の統計では学生は260万人、2019年での学生党員は196万人に減少している。表1に、職業別の党員数の推移を示したが、退職者党員数の増加と反対に、学生党員は減っている。(工人とは、肉体労働者を指す)

 なぜ学生党員は増えないのか。ある中国有名大学大学院に通う女子学生は言う。「共産党は権威的で好きではない。共産党員になってもこれといってメリットがないと感じる。先生から『党員にならないか』と誘われたが断った」。

 しかし中国共産党は、これまで若者党員への取り込みを軽視していたわけではない。中国の小学校では、紅領巾(ホンリンジン)という取り組みが続いている。

 この紅領巾とは、もともと旧ソ連から始まった、共産主義を学ぶためのコミュニティに属する者が着用していた赤いスカーフのことをいう。

 中国では、1950年から将来の党員育成のための取り組みが始まった。紅領巾を着用できることは、中国少年先鋒隊(少先隊)に選ばれたことを意味し、かつてはクラスで数人しか選ばれなかった。

 紅領巾着用者は、共産主義を学んでおり、将来の党員へのステップとして重視されていたが、今では小学校を卒業するまでに全ての者が選ばれるようだ。

 1990年代に小学校を卒業したある中国人は、「紅領巾を先生からもらえなければ落ちこぼれ。その場合は先生から徹底的に指導を受ける。卒業までに紅領巾をもらえないなら、卒業できないくらいの空気があった。まあ、結局はもらえるんだけど」と語る。

 紅領巾の着用は今では「特権的」ではなくなった。中国共産党党員という身分も、若者にとって特別なものだとは思われなくなったのか。

 中国社会では「共産党員」であることは一つのステータスだ。有名大学大学院への入学や公務員試験は、党員であると優遇されるという。国営メディアへの就職も、「面接の時に党員だと有利」と関係者は話す。

 共産党への入党を希望するある大学院生は、「出世に共産党員という要素は重要」と話す。党員でなければ出世できないのかと問うと、「出世ができないわけではない。だが、大体同じ成績・立場の者の中から1人を昇進させよう、となった時、選ばれるのは共産党員。少なくとも自分の親戚の会社ではそうだ」と話した。

 学生党員はどのように誕生するのか。学生党員になった人はいう。「大学在学中に、教授から党員への推薦があった」。成績が優秀であったり、教授に気に入られたりした生徒は、教授から「推薦」を貰えるという。

 その後、毎月提示される課題をこなし、最終的な面接を経て「学生党員」と認められる。課題は主に「マルクス主義の良いところを挙げ、自分の意見を述べよ」など、共産党の歴史や思想に関するレポートだという。

 「約1年かけ、毎月膨大な課題を乗り越えなければならない。大変だった」と入党した大学院生は話してくれた。

 通常、党員になると月1回「党費」を納めなければならない。だが学生のうちは優遇措置により、0.2元(約3円)収めればよい。

 一方、習近平体制になった後から「党員義務の課題」は負担が大きくなったようだ。党員には真っ赤な課題提出用のノートが配られる。共産党のマーク(鎌と槌)が描かれていることはいうまでもないだろう。

 学生党員もそうでない党員も、この提出は必須である。党への忠誠義務を植え付けられる。

 また、学生は所属学科や院の機関ごとに「学生会」「研究会」があり、それぞれ「学生幹部」が存在する。選挙で優秀な学生が選ばれ、彼らは主席や班長、部長など団体ごとの違う呼び名で呼ばれる、学生党員の親分格だ。

 2018年10月6日には、北京大学や精華大学、中国人民大学の学生会らの連名で「学生会、研究会幹部の自律公約」が提唱された。

 学生として、より風紀を正し、向上に努めることなどが書かれている。本当に学生から提起された公約なのかは、議論の余地があろう。

 だが、党員は自ら党員だとはあまり話さない。

 話せば「恐れられる」「党への批判を言った場合リークされる」と思われる可能性があるからだろう。実際、話の流れで「自分は共産党だ」と明かしてくれたある学生は、「だが党員というだけで、怖いことは何もないよ」と慌てるように話した。

 中国人学生にとって、「共産党員」という肩書きは特別なものではなくなった。だが、それでも人生を「有利に」生きるため、党員になる選択をする学生は一定数いる。

 中国のインターネットサイト「知乎」や「百度知道」では「党員になるメリットは?」と質問する書き込みが多くあった。

 若者にとって、党員とは一つの道具となってきているのかもしれない。だが中国社会では、党員になることが、出世や、自らの願望を達成するための登竜門であるということに、大きな変化は生じていない。
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