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【基礎研究・中国共産党④】党員でなくとも人士とそれ以外で区別

公開日: 2020/07/27 (ワールド)

アリババの馬氏=Reuters アリババの馬氏=Reuters

ニュースソクラ編集部

 中国の改革開放政策から40周年を迎えた2018年12月、中国政府は「改革開放後の中国経済発展に貢献した100人」を選んだ。その中には、政府の立場で経済発展を推し進めた者も名を連ねたが、アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)氏や騰訊控股(テンセント)の馬化騰氏、華為技術(ファーウェイ)の任正非氏、小米(シャオミー)の雷軍氏など、世界にも影響力を持つ中国企業のトップも選ばれた。

 日本経済新聞によれば、このリストは共産党中央統一戦線部と、民営企業が加盟して党との調整を手掛ける組織、中華全国工商業連合会がまとめたという。つまり、中国共産党と「良好関係」になければ選ばれないことを示している。

  中国は、共産主義体制でありながら経済は資本主義である。これを日本では社会主義市場経済といい、中国内では「特色ある社会主義」と言っている。

 中国には民営企業と国有企業がある。

 民営企業はその名の通り、民間人が自らの資本で運営する会社を指す。日本語で言えば「私企業」となるが、中国は共産主義を謳っており「私有」を認めていないことから、便宜的に「民営企業」と表しているようだ。

 民営企業に対する言葉として、国有企業(国家資本或いはその企業の株を国家が所有している)がある。国家に欠かせない、「行政性」を有する企業であるという。具体的には、四大銀行や中国電信や中国移動などが国有企業だ。

 中国の経済活動は自由になったと言われる。だが経済活動が自由とはいえ、習近平体制で中国共産党の存在感がより強まる中、中国の企業家も「手放しの自由」を享受していられなくなって来ている。円滑な経済活動を行う上で、党との友好関係はより大切にしなければならなくなっているという。

 では中国企業のトップのどれくらいが党員なのだろうか。

 中国ネット販売大手・アリババ集団創業者の馬氏は、2018年の人民日報報道で「中国共産党員」であったことが明らかになった。馬氏はそれまで、「政府を愛し、しかし政府とは結婚しない(爱政府,但不要和政府结婚)」と言い政府と距離を取ってきただけに意外に思った人も多かったようだ。

 この報道のあと、アリババの報道担当者は「幹部の所属政党がビジネス上の意思決定プロセスに影響を及ぼすことはないと強調」したとCNNが報じている。党員であることを公にしたくなかった意図がにじみ出ている。

 一方、政府寄りの中国ニュースサイト「観察者網」は、アリババは1999年の創業から2年経って「党支部」を作り、2008年には7000名余の党員を生み出し、毎年600名近く党員になっていると報じた(2018年11月26日)。

 だが、馬氏は2019年9月10日にアリババ会長職を引退。世界中を驚かせた。地元杭州で開いた引退イベントではド派手なロックスター姿で登場し、「アリババは私のいくつもある夢の1つに過ぎない」と語った。

 彼の最大の関心は「教育活動」と見られているが、一方で習氏とべったりな関係になることを危惧し引退したという見方もある。

 習近平氏は2002年から2007年までを、アリババの本拠地浙江省で党委副書記から書記の時期を過ごしており、習体制では、浙江省時代の腹心が多数中央幹部に取り立てられている。この時にアリババの馬氏と接点ができていたとされる。

 次に、華為技術(ファーウェイ)の任氏も共産党員である。娘でファーウェイCFO(最高財務責任者)の、孟晩舟氏がカナダで逮捕されたことに対し、党とファーウェイの関与を否定した上で、報道で「私は共産党員で、国家の理想の為に奮闘を続ける」と語っていた。

 一方、日経ビジネスは2019年9月9日の記事でファーウェイを特集し、「(ファーウェイは)アリババ集団やZTE(中興通訊)ほど共産党に近くはない」という一部の中国人の声と、「ここ数年は国から出資したいという要請が来ていて、上層部は断ることに苦労していたようだ」というファーウェイ社員の声を紹介している。

 任氏自身、2019年8月15日のイギリス・スカイニュース記者の「中国外から見れば、政府と民営企業の関係は不透明。これについてファーウェイと党の関係を説明できるか」と言われたことに対し、「1つ目、我々は中国の法律官制を遵守していること。2つ目、我々は政府に納税をしていること。これ以外に何の関係もない」と断言している。

 確かにもともとファーウェイは深圳の一企業で、政府と距離があったとされる。しかし、2018年にアメリカからのバッシングを受け、存続のために北京中央政府と関わらなければならなくなったとの見方もある。皮肉にも、アメリカのファーウェイバッシングが、本当にファーウェイと中国政府の「密な関係」を作り上げてしまったのだろうか。

 その他、中国家電大手の海爾集団(Haier)トップの張瑞敏氏、PC大手の聯想集団(lenovo)創業者の柳伝志氏、テレビ大手TCL集団トップの李東生氏などは共産党員である。

 一方、テンセントの馬化騰氏、バイドゥの李彦宏氏は無党派人士で、シャオミーの雷軍氏は無党派だった。無党派とはどこの党にも属さぬ人のこと。無党派人士と無党派は違う。無党派人士になるには、3つの条件があると2011年6月29日に中央統戦部副部長(当時)の陳喜慶氏が語っている。

 「1、どんな党にも所属していない。2、積極的に社会貢献をし、影響力を有する人物。3、社会基礎に関する、十分な知識を有する者」であるという。これに合った者が政府メディアにより「無党派人士」と認定される。この称号は、共産党員ではないが、政府から好意的に見られていることの証左と見て取ることができるだろう。

 シャオミーの雷軍氏は「改革開放後の中国経済発展に貢献した100人」に選ばれているにもかかわらず、「人士」ではない。しかし2013年1月11日に「共産党員網」というインターネットサイトで「世界一素晴らしいIT企業を立ち上げた(办一家全世界最牛的IT公司)」として紹介されている。共産党が「友好企業」とみているにもかかわらず、「人士」とは呼称されていない。

 無党派人士の歴史は、1949年の新中国成立時期にまで遡る。代表的人物は郭沫松氏と言われており、反蒋介石運動をし、新中国成立に貢献したことから社会的名誉を与えられたようだ。華南理工大学党委統戦部は、「彼らは愛国統一戦線の重要な一部分であり…知識界の専門家を中心に、科学技術、教育、文化芸術、医薬衛生、企業、政府機関や社会団体など」から人士を生み出すと述べている。

 企業にはそれぞれ「党支部」や「党委員会」などの党組織があるようだ。それぞれに格があり、党支部、党委員会、総支部、直属支部というのがある。2019年4月15日に発布された中国共産党党組工作条例によれば「人民団体、経済組織、文化組織など非党組織機関の中で、3人の党員以上がいれば党組織を設立することができる」とされる。

 バイドゥは2005年、「上級党委員会」指導の下に党総支部を設立した。2011年には李氏のもと、党委員会を発足させ、同年にテンセントも党委員会を設立させた。シャオミーの党委員会もあり、8000人の社員のうち104人が党員という報道もある(観察者網2015年6月29日)。

 また、アリババの馬氏が共産党員と明るみに出た時、「党費」の話も話題に上った。 中国共産党員である者は、毎月党費を納めなければならない。アリババ集団の馬氏の納めた党費は公表されていない。

 毎月の収入が3000元(4万5千円)以下の者は0.5%を、3000元-5000元(4万5千円から7万5千円)なら1%を、5000元-10000元(7万5千円から15万円)なら1.5%を、月収が10000元以上の者は2%の党費を納める。(1元15円で換算)

 中国では10元(150円)で1杯の大盛ラーメンを食べることができるが、都市部を中心に地価が上がっており、一般家庭にとっては年換算で少なくない出費だと言えよう。実際、ある農村部の党員の妻は、「党費が高い」と不満を漏らした。

 ちなみに、学生党員や低収入の党員は毎月0.2元(3円)支払えばよい。その他、農民党員は毎月0.2元-1元(3円から15円)と党規定に明記がある。

 中国有名大学で講師を務める中国人は「中国の大学総長も党員でなければなれない」と話す。現在中国は理系研究に大幅な研究補助金を出しているが、文系理系を問わず、膨大な研究費を貰っている研究機関(大学内の専門研究機関)のトップも党員でなければなれないと言われている。

 習近平体制になってから勢いを増したBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)。いずれも1998年か1999年創業の新興企業であり、胡錦濤政権と現政権との距離を一様に比べることはできない。しかし、アリババは農村地帯でシェアを広げるため、優遇措置を受けていた面もある。中国では業績を伸ばす企業は、党や政府からの水面下も含めた優遇があることは少なくないだろう。

 胡錦濤体制に比べ、民営企業が政府への「忠誠」を見せることが、強く求められている。
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