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ドイツで極右テロ相次ぐ 特殊部隊にも極右が浸透

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【欧州から】極右がクーデター力をつけているのかも

公開日: 2020/08/10 (ワールド)

極右勢力のデモ=Reuters 極右勢力のデモ=Reuters

茶野 道夫 (ウィーン在住コンサルタント)

 ドイツで極右過激派によるテロ行為が目立っている。

 昨年、難民受け入れに寛容な市長が、極右過激派から脅迫文書を受け取った後、自宅のテラスにいるところを銃で狙われ暗殺された。またユダヤ人がシナゴーグで重要な宗教祭日の礼拝をしている最中に人種差別主義者のテロリストが侵入し、礼拝中のユダヤ人信者に発砲しようとしたが、シナゴーグの扉が堅固で突入できず腹いせに、そのあたりをたまたま通りがかった通行人を殺害する事件がおきた。

 これまでもドイツでは、極右や人種差別主義者によるナイフなどを使った殺傷事件が起きたことはあるが、このように銃器を使ったテロ行為が続くのは初めてである。ドイツ内務省は、最近のレポートで、極右によるテロ行為が目立っていることに注目している。今後ドイツ政府はこれまでのイスラムテロ防止から、極右のテロ行為を警戒する姿勢に転換するものと思われる。

 こうした中で、ひときわ注目される事実が明らかになった。ドイツ国防軍の内部告発でドイツ特殊部隊に、極右勢力が浸透している事実が発覚した。ドイツ国防相が、この内部告発を受けて調査したところ、特殊部隊に親ナチの勢力が浸透し、部隊の非公式会合で、ヒットラー式の右手を前にあげる挨拶が行われていたことが判明した。さらに装備を点検したところ、弾丸4万5千発、爆薬60キロの所在が不明となっていた。

 この特殊部隊は、英米に倣ってテロリスト対策のため編成された精鋭部隊であり、国防軍の中でも独立した部隊となっている。このため、隊員の研修も独自に実施している。国防相はこの調査結果を受けて、ネオナチとのつながりがある疑いが判明した第2中隊を解散し、独自の研修を中止させた。特殊部隊に属する精鋭な将兵が、十分な武器弾薬を装備して蜂起すれば、クーデターを起こすことも可能なため、背筋の凍るような話である。

 ドイツでは、第2次大戦でナチがユダヤ人の大虐殺を犯したことを反省して、戦後、ナチを称えるような行為や発言は刑法上禁じられている。それにもかかわらず、ナチシンパはしつこく存在する。

 旧東独地域では、ナチによる独裁体制終焉した後も、共産党の独裁体制が続いた。東西ドイツの統一により初めて西側の民主体制に移行したものの、統一後、競争力のなくなった旧東独経済は崩壊し、このため生活水準が大きく低下した。旧東独地域の住民の中には、独裁体制の強力な国家を志向する人もおり、この地域では極右勢力やネオナチが隠然たる勢力を持っている。

 右派政党のAFDも、この地域で極右勢力やネオナチとのつながりのあるとみなされる党内右派が、州選挙のたびに勢力を拡大している。党中央は右派幹部と対立しているが、右派は地元の強い支持を背景に必ずしも中央の意向に従わない状態が続いている。

 極右テロが目立つ背景には、こうした旧東独地域を中心とした極右容認の社会的傾向がある。これと世界的な人種差別主義者による、凶悪テロの発生とが呼応している。ドイツ社会が、ヒットラー台頭の時代のように右傾化しているわけではないが、極右勢力は、緑の党の伸長などの新しい政治的流れと対峙する形で力をつけているのは確かだ。ちなみに極右勢力は、国防軍のみならず警察にも浸透しているとの疑惑がもたれている。今後大いに注意を払っていく必要があろう。
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茶野 道夫(ウィーン在住コンサルタント)
日系金融機関のウイーン駐在代表を定年退職後、不動産投資コンサルタント。日系金融機関のウイーン駐在代表をつとめた後、定年退職。ウイーンで、不動産投資コンサルタント。英、独、仏、西、伊、露語に通じ、在欧経験は30年を超えた。英国、スペインにも勤務。
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