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欧州におけるオミクロン変異株の感染拡大

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【経済着眼】それでも規制緩和が次々と

公開日: 2022/04/01 (ワールド, コロナ(国外))

Reuters Reuters

 欧州諸国の多くでは2か月前にオミクロン株感染は峠を越えた、と予想した。これに対してWHOは「多くの欧州大陸諸国では、各種制限を取り払った後に変異株BA.2.をコントロールしなければならなくなる」と警告を発していた。

 わが国でも東京都を中心に1週間平均で前週比プラスに転じてリバウンドの懸念がささやかれている。それは、このBA.2.の感染拡大の可能性が高い。BA.2.は通常のオミクロン株と比べると30%も感染力が強い一方で、入院や重症化リスクは少ないと分析されている。

 欧州諸国では、ブースター接種の勢いが衰え、マスク着用や飲食店への出入り制限撤廃などを背景にBA.2の感染が拡大してきており、少なくとも欧州18カ国で感染が拡大してきた。ちなみに欧州における新規感染者数(3/29日)は英国が8万人(死者数305人)、フランスが22万人弱(同164人)、ドイツが137万人(同1,524人)、イタリアが10万人(同177人)と引き続き高水準である。

 欧州諸国では感染の再拡大にもかかわらず執拗に制限撤廃を行っている。入院者数と死亡率が減少しているのに安堵して経済優先へと舵を切り替えたということだ。また無視できないのは個人主義を貴び、政府の干渉を嫌う国民性も行動制限等の撤廃を促している。

 英国のジョンソン首相は首相官邸での飲酒を含むパーティーを繰り返した「パーティーゲート」事件でいったん首相を続けることが危うくなったが、コロナ抑制のための各種撤廃措置で個人の自由を貴ぶ保守党内の支持を取り戻した。

 欧州各国の行動制限措置の解除を簡単にみていきたい。ポーランドでは3月28日から屋内でのマスク着用義務を撤廃したほか、PCR検査の結果、陽性と判定された家族の自己隔離などの規制も解除した。

 イタリアでも、感染者数が3月初めからほぼ倍増、3月27日で新規感染者数が6万人を越えているにもかかわらず、政府は2年以上続けてきた緊急事態宣言を3月末で解除した。

 ドイツでも、公共交通機関や職場でのワクチンパスポートの掲示義務を解除した。スコットランドでは自己隔離とPCR検査の要請を、またイングランドでは来月より検査無料化を終了すると発表している。

 フランスでは高齢者施設、公共輸送機関を除くすべての場所でのマスク着用義務を解除した。しかし、直近一週間当たりでの10万人当たり感染者数が直近ピーク時で928人と日本(同240人、3/23~3/29日週)の4倍にまで上昇した。専門家の間では時期尚早の判断ミスではなかったか、との批判が絶えない。

 新規感染者数が3月下旬以降、毎日5万人前後まで高まったオーストリアのみがいったん解除した屋内での公的スペースのおけるマスク着用を再び義務付けた。

 一般的な受け止め方としては、オミクロン株感染の最悪期は過ぎた、と前向きになっている。たしかにデルタ株の感染が拡大したときのように入院患者が増え続けて医療崩壊が起きそうになったことは起きそうもない。

 しかし、例えばドイツでは高齢者のワクチン接種率が低いため、BA.2.の感染リスクは高そうだ。このため、ドイツ連邦議会が多くの感染防止策を解除した一方で、多くの州では屋内でのマスク着用義務を4月初めまで延期している。

 先行きについては欧州諸国でも見方が分かれている。代表的な見方は「感染力が強いのでしばらくは感染者が高止まりしよう。しかし、一方で夏場が近づきつつあり、暖かくなるにつれて正常化するのも近い」という楽観的なものだ。

 とはいえ、一度解除した感染抑止のための規制を再導入するのは難しく、無防備な形での人々の交流が増えると、感染が広がっていくと懸念する専門家も多い。

 今後、懸念されるのは米国である。専門家は米国では数週間のうちに感染再拡大に見舞われるのではないか、と恐れている。とくに米国ではワクチンの三回目の接種、いわゆるブースター接種が高年齢層で拡がらないことから欧州諸国より感染の拡大ならびに入院患者の増加ペースが増えていくと懸念されている。

 政府の首席医療顧問のファウチ博士のようにいたずらに懸念を持つ必要はないとの意見も多い。しかし、米国人の三人に一人はワクチンの2回接種すら行えていない。三回目のブースター接種に至っては接種済みの人は総人口の29%に過ぎない。累計感染者数が8,000万人を越える米国においてBA.2.の感染拡大の可能性を否定するのは難しそうだ。

 わが国も新年度を迎え、入学式、入社式で人が集まる機会が増え、春休みその後のゴールデンウィークで行楽に出かける機会も増える。いまなお、マスク着用とソーシャルディスタンスを守っているとはいえ、用心は必要ではないだろうか。

俵 一郎 (国際金融専門家)

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