2011年の紛争勃発時の人口は、2300万人のため人口の半分が難民、避難民になっている状況だ。シリア国内で家を失った人は、1060万人おり、壊滅的な状況になっている。今年の年末には、さらに難民の数は増加し427万人に達するだろうと予想されている。
難民の最大の受け入れ国であるトルコは、193万8999人と国外避難民の半分を受け入れている。そのほか、レバノン:111万3941人、イラク:24万8503人、ヨルダン:62万8887人、エジプト:13万2275人、北アフリカ諸国:2万4055人となっている。欧州は約42万人の難民を受け入れ、大きく報道されているが、周辺国の難民受け入れ数は桁違いで負担ははるかに大きい。
200万人近くの難民を受け入れているトルコは、すでに難民受け入れの限界が見えつつある。トルコのアフメト・ダウトオール首相は、9月6日のドイツ紙への寄稿にて「(欧州連合(EU)諸国による難民の受け入れ数が)話にならないほど少ない」と批判し、欧州の指導者と難民受け入れについて協力していく必要性を指摘した。(2015年9月7日 AFP通信)

周辺国の一つであるヨルダンでは、一日3.2ドルで生活する難民もおり、難民へのフードクーポンの打ち切りや、通院・通学に必要不可欠なIDを発行のため多額の費用を徴収するなど、難民の現状はヨルダン、周辺国共にますます厳しいものになっている。このような現状が、難民たちを欧州に向かわせている。
一方で、欧州の難民受け入れも容易ではない。昨今、話題になっている欧州を目指す難民は総シリア難民の10%を占める。2011年~2015年までに、欧州に避難した人は、42万8735人。しかしその数は、2014年だけで13万8016人に上った難民のうち、ドイツ・セルビアが43%、スウェーデン・ハンガリー・オーストリアなどが40%、その外の国が17%の難民を受け入れている。
一方で、ドイツ政府は6日、欧州すべての国が、難民受け入れに協力することを求め「それが保証される場合のみ、ドイツは大量の難民支援への役割を果たし続けることができる」と強調していた。(2015年9月7日付 CNN)
ドイツは、難民受け入れだけでなく、昨年10月末、2015年からの3年間に約5億ユーロ(670億円)の経済支援を約束した。ちなみに、2011年にシリア内戦が起きて以来、ドイツはすでに約6億5000ユーロ(870億円)を拠出している。