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COP26、日本が石炭火力で袋たたきの予感

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【緑の最前線(99)】代わり映えしない新エネ計画

公開日: 2021/10/25 (ワールド)

石炭火力発電所=peggydavis66-ShareAlike 石炭火力発電所=peggydavis66-ShareAlike

三橋 規宏 (経済・環境ジャーナリスト、千葉商科大学名誉教授)

 31日から英国・北部グラスゴーでCOP26(国連・気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開かれる。岸田文雄首相が出席する方向で準備を進めている。実現すれば首相就任後初めての外遊になる。

 31日の衆院選投開票直後の出発を検討している。衆院選の結果によっては訪英を取りやめる可能性もある。

 COP26は11月12日までの開催だが、首脳級会合は冒頭の1〜2日に開かれる。オンラインでの出席や代理出席は認められない。外務省幹部は「欠席すれば日本が温暖化対策を軽視していると見られかねない」と話している。

 日本は菅義偉前総理が2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」(炭素排出ゼロ)を宣言し、今年4月には2030年度の温室効果ガス(GHG)排出削減目標について、2013年度比46%削減することとし、さらに50%の高みに向け、挑戦を続けていくことを表明した。

 政府はこの目標達成のため22日、新エネルギー基本計画(第6次基本計画)を閣議決定した。2050年に脱炭素達成を目指し、今後のエネルギー政策の進むべき道筋を示すとして、30年度の電源別発電量の構成比を示している。

 その主な内容は①発電量の36〜38%を太陽光、風力などの再生可能エネルギーで賄う、②原子力は20~22%、③火力は41%まで引き下げる、石炭火力は19%を見込む、などとなっている。

 政府はCOP26の開催前に、新エネ計画を国連事務局に提出する。3年前の第5次計画と比べ、GHG排出削減目標(26%削減)を大幅に引き上げたことや再エネ比率を倍増した。

 さらに石炭、石油、天然ガスなどの火力発電比率を現在(2019年度)の76%から41%へ引き下げる、32%を占める石炭火力を20%割れの19%まで引下げるなど、「思い切った内容」になっていると計画作成担当者は胸を張る。

 岸田首相周辺でも、「COP26でも日本の積極姿勢は一定の評価を受けるだろう」と皮算用している。

 果たしてそうだろうか。

 確かに第5次と比較すると、第6次は脱炭素に向けてかなり前進したように見える。だがこれはあくまで日本国内に絞った話である。パリ協定という国際舞台で比較すると景色は一変する。

 COP26の主催国、英国は6月、国内の石炭火力を当初計画より1年早め24年には廃止すると宣言した。フランスやドイツ,イタリアも30年全廃を打ち出しており、日本の見劣りは否めない。

 米国の石炭火力比率は現在30%強に止まっている。石炭火力支持者だったトランプ氏に代って登場したバイデン大統領は気候リスク対策として温暖化対策に積極的だ。米国がCOP26で石炭火力削減について思い切った提案をすれば、「石炭比率19%」は消極的な数字として受け止められ袋たたきに合う予感がする。

 英国のBBC放送が最近伝えたニュースによると、来年発表が予定されている国連の温暖化対策報告書に、「サウジアラビアや日本、オーストラリアなどが化石燃料からの急速な脱却の必要性を控えめに評価するように国連に働きかけている」と報道している。

 これが事実なら、日本は脱炭素に積極的な素振りを見せながら実際は石炭火力の温存に熱心だと受け止められてしまう。

 現在日本では162基の石炭火力が稼働中で、9基が建設中だ。状況証拠は好ましくない。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8月に公表した地球温暖化に関する報告書は、産業革命前と比べた世界の気温上昇が「2021~40年」に1.5度に達すると予測した。前回18年の報告書では「30~52年」に達すると見ていたが、10年程早まった。

 気候リスクが10年早まったことになり、パリ協定では「50年炭素ゼロ」の前倒しが検討されるかも知れない。COP26の最大テーマが石炭火力発電全廃にあるだけに、石炭比率の高い日本は攻撃の的にされかねない。
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三橋 規宏(経済・環境ジャーナリスト、千葉商科大学名誉教授)
1940年生まれ。64年慶応義塾大学経済学部卒業、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学政策情報学部教授、中央環境審議会委員、環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)事務局長等を歴任。現在千葉商大学名誉教授、環境・経済ジャーナリスト。主著は「新・日本経済入門」(日本経済新聞出版社)、「ゼミナール日本経済入門」(同)、「環境経済入門4版」(日経文庫)、「環境再生と日本経済」(岩波新書)、「日本経済復活、最後のチャンス」(朝日新書)、「サステナビリティ経営」(講談社)など多数。
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