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韓国大統領選 日韓関係の改善の兆しは?

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【舛添要一が語る世界と日本(115)】新大統領と岸政権発足を転機にできるか

公開日: 2021/11/09 (政治, ワールド)

 来年3月に行われる韓国の大統領選は、与党「共に民主党」では、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事が正式に候補に決まった。

 野党第一党の「国民の力」は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長が候補に選ばれた。

 11月5~6日に韓国社会世論研究所(KSOI)が行った世論調査では、尹錫悦氏が43.0%、李在明氏が31.2%、中道野党の「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)氏が4.7%、正義党の沈相奵(シム・サンジョン)氏が3.7%という支持率であった。

 文在寅大統領の政権運営については、「評価する」が39.5%、「評価しない」が56.7%であった。政党支持率では、与党「共に民主党」が30.5%、野党「国民の力」が37.1%であった。

 与党候補の李氏は対日強硬派として知られており、文在寅路線を継承するだろうと見られている。

 これまでも、歴史認識などについて、日本を厳しく批判する言動を行なっている。予備選挙勝利後の10月10日、「日本を追い抜き、先進国に追いつき、世界をリードする大韓民国をつくる」と、日本への対抗心をむき出しにした。

 一方、尹錫悦氏は、日本との関係改善を掲げ、「共栄の未来のためのビジョンを、首脳会談を通じて盛り込む」と公約で表明し、歴史問題や安全保障、経済などを1つのテーブルに載せ、一括解決の方式で扱うべきとの考えを示している。

 大統領選挙までに、懸案の徴用工問題について、文在寅政権が日本に対する厳しい姿勢を変えることはあるまい。また、野党への政権交代が起こっても、すぐに大きな変化が生じるとは思えない。

 10月15日、文在寅大統領と電話会談を行った岸田首相は、韓国最高裁の徴用工判決や慰安婦に関する日韓合意違反に関して国際法違反であることを指摘し、適切な対応を強く求めた。

 これに対し、文在寅大統領は、「1965年の日韓請求権協定の適用範囲についての法的解釈に(日韓間で)違いがある問題だ。両国間で外交的解決を模索するのが望ましい」と応じた。両者間の認識の溝を埋めるのは容易ではない。

 戦後賠償については、1965年6月には、日韓基本条約が結ばれ、両国間で請求権の完全かつ最終的な解決が図られた。ただ注意すべきは、1965年の基本条約によって、損害を被った個人の請求権が消滅するものではないということである。

 徴用工訴訟は日本政府ではなく、日本企業を相手取っているので、その訴訟が無効ではなく、2012年5月23日、韓国の最高裁は、三菱重工と新日鉄に対する損害賠償請求を認めた。これ以降、韓国各地の地方裁判所で、同様な趣旨の判決が続いた。

 2018年10月30日には、最高裁は、新日鉄(現日本製鉄)に対し、原告4人に1人当たり1億ウォン(約920万円)の支払いを命じ、翌月の11月には、三菱重工業に対し元朝鮮女子勤労挺身隊らへの賠償を命じる判決を下した。

 勝訴した原告は、三菱重工業の商標権2件と特許権6件を差し押さえていたが、今年の9月27日に、韓国の大田地裁は、商標権2件と特許権2件を売却し、一人当たり2億973万ウォン(約2000万円)を確保するように原告に命じた。また、日本製鉄の資産の現金化手続きも進行中である。

 今年の1月、文在寅大統領は、「資産の現金化は日韓関係にとって望ましくない」と述べてはいるが、具体的な手は打っておらず、そのため日韓関係は暗礁に乗り上げている。

 ナチスドイツに関わる賠償問題は解決済みという立場のドイツも、ポーランドやギリシャとの間でまだ問題を引きずっているが、ハーグの国際司法裁判所に持ち込むなどの知恵を働かせている。日本と韓国の主張に大きな隔たりがある以上、ハーグもまた一つの解決法である。

 日本の安倍政権、韓国の文在寅政権は、いずれもショーヴィニズム的な傾向が強く、これが「対外硬」というスタンスを取らせてきた。日本では、ネトウヨと呼ばれるような「嫌韓派」が安倍応援団となり、韓国に対するあらゆる妥協を拒んできた。

 2016年春、都知事の私は、手狭になった東京の韓国人学校移転先を斡旋した(賃貸契約なので家賃は韓国政府がきちんと支払う)が、それはソウルの日本人学校が韓国政府やソウル市の支援で増築できたことのお返しでもあった。

 ところが、嫌韓やネトウヨは「売国奴」と口汚く私を非難し、それがその後のバッシング、都知事辞任へと繋がったことは周知の事実である。

 韓国でも、対日関係を改善しようとする努力に対して、「親日派」、つまり「売国奴」、「非国民」といった批判を、文在寅政権を支持する人々は繰り返している。

 両国において、このような非生産的な言動を慎むことが、関係改善の第一歩である。

 その意味で、岸田政権の誕生は一つの転機となりうる。来春の韓国の大統領選挙がどのような結果になるにせよ、青瓦台の新主人が対日関係改善に舵を切れるかどうかは、韓国の世論、とりわけマスコミの動向が大きく影響する。

 北朝鮮や中国の軍事的脅威に対抗するためにも、日韓の協力は不可欠であり、両国の指導者が大局的な国益認識を持つことが必要である。

舛添 要一 (国際政治学者)

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