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露軍増強でウクライナのNATO加盟をけん制

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【舛添要一が語る世界と日本(119)】東欧諸国への米からの核配備を警戒

公開日: 2021/12/07 (ワールド)

CC BY ウクライナの首都キエフ=CC BY /Jorge Franganillo

 ウクライナ情勢を巡って緊張が高まっている。

 ロシアがウクライナ国境地帯に軍隊を集結させ、侵攻する構えを見せているからだ。

 アメリカの情報機関によれば、17万5千人の部隊が軍事侵攻する準備を整えているという。ロシア側はこれを否定し、ロシア系住民が住む東部で、米欧の支援を得てウクライナが武力で問題を解決しようとしていると非難している。

 ロシア国境地帯に住むロシア系住民は分離独立の動きを強めており、ロシアはこれを支援し、ウクライナはこれを阻止しようとしているのである。

 こうして両国関係が緊迫化する中で、これを武力衝突に発展させないために、7日、バイデン大統領とプーチン大統領がオンライン形式で協議することになった。しかし、両首脳がお互いに満足のいく合意に達するのは極めて困難であろう。

 この問題との関連で思い出すのは、2014年3月のロシアによるクリミア半島の併合である。クリミア半島は、国際的に認められたウクライナの領土であり、これはロシアによる侵略・併合だと日米欧などから非難された。ロシアによれば、住民投票を経て独立が宣言され、ロシアとの併合が条約によって決まったというのである。

 戦後のソ連で、独裁者スターリンの死後、フルシチョフがクリミアをロシア共和国からウクライナ共和国に「友好の証」として譲った。

 背景には、水事情が良くないクリミア半島へは、ウクライナから水を供給する方が便利だという点もあったとされる。フルシチョフにしてみれば、クリミアがどちらの共和国に属そうがソ連邦の一部であることには変わりはないのである。まさか、37年後にソ連邦が崩壊するなどとは考えても見なかったのであろう。

 プーチン政権は、1954年のフルシチョフの決定は違法であるとし、本来の姿に戻したまでだと言う。そして、ウクライナに住むロシア人の利益を守るために行動すると述べている。ロシアにとって、クリミア併合は「正常への復帰」なのであり、外国から批判されるべきことではないのである。

 ウクライナは、これらのロシアの主張に反論しており、ロシアによる違法行為だと厳しく糾弾してるが、今回もウクライナ東部がクリミア半島と同じ運命を辿ることを危惧している。

 民族問題と共に、ロシアが軍事的圧力を強めているのは、ウクライナがNATO に加盟しようとしているからである。ウクライナが西側の軍事同盟に入れば、ロシアにとっては脅威が高まる。プーチン政権は、それだけは許容できないのである。

 そこで、NATO に加盟しないことをウクライナに約束させたいのであり、米露首脳会談でもそのことを主張するであろう。もちろんバイデン側はそのような約束にコミットする気は全くない。

 この問題は、ウクライナの北の隣国、ベラルーシのルカシェンコ大統領を見ると、よく理解できる。

 ロシアにとっては、この専制主義政権がロシアとの友好関係を維持していることが安全保障上重要なのである。したがって、移民越境問題などで国際的非難が高まっても、ロシアはベラルーシを支援し続けている。

 ウクライナが反露傾向をさらに強める事態は何としても避けるというのが、ロシアの戦略なのである。

 ロシアが「レッドライン」とみなすNATO 加盟のみならず、ウクライナに攻撃兵器を配備したり、東欧諸国にアメリカが核兵器を配備したりすることをロシアは警戒しており、これらについてバイデン大統領の約束を得たいのである。しかし、アメリカ側が安易にその要求を容れることはなかろう。

 1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年にソビエト連邦は崩壊したが、今また、米露の対立が強まっている。共産主義は葬っても、ナショナリズムを克服するのは難しいものである。

舛添 要一 (国際政治学者)

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