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ロシアのウクライナ侵攻は北京五輪後の3月か

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【舛添要一が語る世界と日本(126)】混沌としてきたウクライナ情勢

公開日: 2022/01/25 (ワールド)

CC BY-SA 政府軍と抗議者との衝突(キエフ、2014年2月)=CC BY-SA /Mstyslav Chernov

 ウクライナ情勢が緊迫化しているが、同時にウクライナの内外で混沌とした状態になっている。

 今後の展開は読みにくいが、最悪の事態にも備えねばならない事態になりつつある。

 1月23日、アメリカ国務省は、ウクライナで勤務する米外交官の家族に出国命令を下した。また、ロシアとウクライナへの渡航警戒レベルを4段階のうち最も厳しい「渡航中止」にした。ロシア軍がいつ侵攻してもおかしくない状況だという判断からである。

 2014年のクリミア併合のときと、状況が似てきている。

 この年の2月中旬にウクライナの首都キエフで、反政府デモが組織され、親露派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領に率いられる政権側と激しい対立になった。騒動の中、身の危険を感じたヤヌコーヴィチはキエフを脱出し、議会は大統領の解任を決議した。そして、親欧米派のトゥルチノフが大統領代行となった。

 この政変劇に対して、背後にアメリカがいるとして、ウクライナの親露派勢力もロシアも抗議の声をあげたのである。

 クリミア半島は、1954年にソビエト連邦の最高指導者フルシチョフが「友好の証」として、ロシアからウクライナに譲渡した土地である。それだけにロシア系住民が多数を占めている。

 そのため、政変に不満を持つ人々が住民投票でウクライナからの独立、もともとの祖国であるロシアへの編入を決め、3月18日に実行したのである。

 この動きの背後にはロシアがおり、プーチンはクリミアを取り返すことを明言していた。ロシアは事前に多数の工作員を侵入させ、併合の下準備をしたのである。

 アメリカをはじめ西側諸国は、これに抗議してロシアに経済制裁を課した。

 プーチンはロシアへの併合を宣言した演説で、「フルシチョフの割譲決定は違法である」、「ロシアはウクライナの分割は望まず、これ以上の領土的野心はない」、「ロシアは、今後もウクライナに住むロシア人、ロシア語を話す人々の利益を守る」などと述べている。

 30年前の1991年12月にソ連邦が解体し、15の共和国が独立した。かつてワルシャワ条約機構軍を構成した国々が次々とNATOに加盟していったのである。チェコ、ハンガリー、ポーランド、バルト3国などである。

 ロシアと国境を接するベラルーシとウクライナのうち、前者は親露のルカシェンコ大統領が独裁を続けている。しかし、親欧米派のゼレンスキー大統領が政権を握るウクライナはNATOへの加盟を求めている。これはプーチンにとっては耐えがたいことであり、安全保障上許すわけにはいかないのである。

 そこで、これ以上NATO加盟国を増やさない保証をアメリカやNATOに求めている。しかし、アメリカ側はこれを拒否しており、度重なる協議でも主張は平行線のままである。

 ゼレンスキーはコメディアンであるが、2015年に平凡な高校教師が政治腐敗に異を唱え、大統領にまで上り詰めるテレビドラマ「国民のしもべ」の主役を演じて人気を博した。

 そして2019年に、ドラマと同じように大統領選に立候補し、当選してしまったのである。それだけウクライナの政治が腐敗し、閉塞状態にあったということである。

 しかし、政治の素人であるゼレンスキーの手腕が優れているとは言えず、ロシアとの間で緊張を高めてしまったことは失敗である。地政学的状況を考えれば、アメリカ一辺倒では多くの問題が生じることは自明だからである。

 プーチンは、ウクライナ東部のロシア系住民を支援しつつ、多数の工作員を放って、ゼレンスキー政権を転覆させ、親露派の政権を作ろうとしている。それに成功すれば、軍事侵攻という冒険をせずに済むからである。

 そして、クリミアのときと同様に、ロシア系が多い東部ウクライナで住民投票を実施し、独立国にしてロシアへの編入を図ることを考えている。

 2014年2月、都知事の私は、次期五輪開催都市の首長として、ソチ五輪の閉会式に臨んだ。そのときにはロシアは既にクリミア併合の準備を整えつつあったのであろうが、目と鼻の先にいながら全く、そのような動きには気づかなかった。

 ソチのオリンピックが2月7日~23日、パラリンピックが3月7日~16日であり、その2日後の3月18日にロシアはクリミアを併合している。

 今年の北京は、オリンピックが2月4日~22日、パラリンピックが3月4日~13日である。前例に従うと、3月13日直後にロシア軍はウクライナに侵攻するということになる。ロシアはいつでも進軍できる万全の準備をしているが、北京五輪の成功を至上命題とする習近平政権への配慮もある。

 NATOは、ウクライナへの武器支援を加速化しているが、それが紛争の抑止につながるかどうかは不明である。状況は混沌としてきた。

舛添 要一 (国際政治学者)

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