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核兵器開発進める金正恩 ロシア見て自信深める

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【舛添要一が語る世界と日本(138)】大型核から小型・軽量の戦術核まで多様な開発を急ぐ

公開日: 2022/04/19 (ワールド)

Reuters Reuters

 北朝鮮は、4月16日午後6時頃、「新型戦術誘導兵器」の発射実験を行った。

 発射されたのは2発で、高度は約25㎞、飛行距離は約110㎞、最高速度はマッハ4以下だという。このミサイルは、移動式発射台(TEL)から発射されており、発射地点を敵に探知されない利点がある。

 3月24日には、ICBMをロフテッド軌道で発射しており、高度は約6200㎞、飛行距離は約1080㎞であり、北海道渡島半島の西方の日本のEEZ内に落下させている。

 このICBM発射実験の成功は、アメリカ本土を攻撃できる核兵器運搬手段を手に入れたことを意味する。残るは核兵器の開発であり、これができれば、戦略核兵器を保有することになる。

 潜水艦から発射されるSLBMの開発も進んでおり、これによって海中からアメリカを攻撃できるようになる。北朝鮮は、戦略核の3本柱(triad)のうち、爆撃機を除く2本までを保有しているのである。

 しかも多弾頭(MIRV)の開発に成功すれば、IVBMで同時に複数の標的を狙うことができ、アメリカにとっては大きな脅威となる。
それでは、今回の「新型戦術誘導兵器」開発の目的はどこにあるのか。北朝鮮は、「戦術核の効果と火力任務多角化」が目的だという。発射されたミサイルは、従来の射程400~600㎞の短距離弾道ミサイル「KN23」よりも小型である。核爆弾を小型化すれば、このミサイルに搭載できることになる。

 つまり、通常兵器の延長線上で「使える」戦術核として位置づけているのである。韓国や日本に対して実際に使うことを念頭に置いていると考えてよい。

 これは、ロシアの核戦略と同じで、大型でMIRV化されたICBMから、小型化・軽量化されて取り扱いやすい戦術核まで多様な核メニューを揃えようとしている。

 ウクライナ戦争に関して、プーチン大統領は、国家の安全が危殆に瀕したときには、生物・化学兵器のみならず、核兵器も使うことを明言している。そのために、NATOは、飛行禁止空域の設定などを含め、直接の武力衝突につながる措置は講じない方針を堅持している。

 第三次世界大戦の引き金となるからであり、下手をすると核戦争となって人類が破滅するからである。

 小さな戦術核でも、これほどの抑止効果を持つことを、金正恩は、しっかりと認識したに相違ない。

 昨年1月の朝鮮労働党の党大会で、金正恩は、「国防科学発展および兵器システム開発5カ年計画」を発表したが、そこには、
(1)核兵器の小型化と戦術兵器の推進
(2)大型核弾頭の生産
(3)極超音速滑空兵器や原子力潜水艦の開発
――などが盛り込まれた。

 北朝鮮は、この国防力強化5カ年計画を着々と進めているのである。移動式発射台や列車からミサイルを発射するシステムの開発を進めているのは、敵に察知されないで奇襲攻撃を行う能力を高めるためである。また、今回のミサイルの外形は、変則的な軌道を描くロシアの「イスカンデル」に似ており、敵に迎撃されにくい。

 アメリカではトランプ政権が去り、韓国では文在寅政権がまもなく終わる。金正恩は、対話路線を放棄して、先制打撃力の強化に集中する方針に切り替えたようである。

 そして、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻を見て、自らの路線の正しさを再認識したに違いない。

 韓国では、18日から米韓合同軍事演習が始まった。16日の「新型戦術誘導兵器」の発射実験は、それを牽制するためであるが、次には核実験を行うことが予想される。

 アメリカの覇権に対して、中国、ロシア、北朝鮮が連携しつつある。東アジアも焦臭くなってきた。日本の防衛構想を再点検する必要があるが、それは、「敵基地攻撃能力」を他の表現に変えるといったレベルの話ではないのである。

舛添 要一 (国際政治学者)

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