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ノルドストリームの爆破は米国主犯との暴露記事

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【舛添要一が語る世界と日本(182)】ロシアが爆破説覆す ノルウェーが協力か 米露の双方に謀略戦

公開日: 2023/02/21 (ワールド)

CC BY-SA アメリカの報道記者シーモア・ハーシュ(2009年)=CC BY-SA /Giorgio Montersino

 ウクライナ戦争から1年が経つ。停戦の見通しは全く立たず、むしろ戦闘は激化している。

 ミュンヘンで2月17日から19日まで開かれた安全保障会議では、ウクライナへの西側の支援が確認された。戦車の供与の約束をすでに取り付けているウクライナは、戦闘機の供与も求めたが、これに対しては意見の相違が目立つ。

 たとえばドイツは、慎重な姿勢を維持している。NATOとロシアが直接対決するようになる危険性を考慮してのことである。

 戦車の供与でもドイツが消極的だったのは、これまで構築してきたロシアとの深い経済関係が背景にあるからである。ヘルムート・コール首相は、巨額の経済支援をゴルバチョフに提示し、東西両ドイツの統一に成功した。

 それ以前の米ソ冷戦下にあっても、西ドイツはソ連圏との経済的結びつきを強めたのである。

 ソ連がヨーロッパへのパイプライン事業を開始したのは1960年代であるが、その後も本格的な準備は着々と進んだ。しかし、1981年に発足したアメリカのレーガン政権は、ヨーロッパがソ連の天然ガスに依存することは安全保障上問題があるとして、パイプライン構想に反対であった。

 しかし、ロシアからの輸入を止める代替案をアメリカが用意するわけでもなく、安価なエネルギー資源を求めるヨーロッパにとっては、極めて無責任な主張にしか見えなかったのである。

 ヨーロッパは、天然ガス貿易のように、ソ連と相互依存関係を築くことが逆に平和に繋がると反論した。こうして、1984年1月1日、西シベリアから西欧への天然ガスの輸送が始まった。

 米ソ冷戦時代には西ドイツのシュミット首相、ドイツ統一後はメルケル首相が天然ガスパイプライン計画を強力に推進したのである。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻は、アメリカの主張が正しかったことを証明するような形になってしまったが、問題はそんなに単純ではない。

 ロシアからドイツに海底パイプラインで天然ガスを運ぶ「ノルドストリーム」は2011年11月8日に稼働を開始した。これに加えて、ドイツとロシアは、2015年5月に「ノルドストリーム2」の建設に合意した。アメリカは、この建設計画に対して安全保障上の問題があると反対してきたが、その間も建設は進められ、2021年夏にはほぼ完成した。

 そのため、バイデン政権は方針を転換し、7月21日完成を容認する米独共同声明を発表した。ドイツとの同盟関係を重視したためである。

 ところが、ロシアが東部2州の独立を承認したことに反発したドイツは、ウクライナ侵攻が秒読みとなった2月22日、ノルドストリーム2の計画中断を決めている。

 戦争が始まってから、ロシアが現在稼働中のノルドストリームを止めるのではないかという観測もあったが、プーチンはこれを否定し、石油・天然ガスの供給は継続すると明言している。止めれば、外貨収入を失うからである。しかし、西側による経済制裁に反発するロシアは、8月にノルドストリームからのガス供給を完全に停止した。

 その後、9月26日にノルドストリームが爆発した。ノルドストリームとノルドストリーム2に4カ所の損傷が見つかり、海底のガス管から天然ガスが漏れ出した。

 デンマークやスウェーデンのEEZの中であるが、欧州諸国は、ロシアによる破壊工作だとの見方を強めた。一方、ロシアは、自分たちにとっては何の得にもならないことだとして、破壊工作を否定した。爆発で海水がガス管内部に流入し、腐敗が進んでいけば、復旧が困難になることも考えられる。

 この爆破事件について、アメリカの著名な記者、シーモア・ハーシュが2月10日、自らのブログに、爆破を実行したのはアメリカだったという暴露記事を掲載したのである。ドイツのロシア依存を止めさせるための策略だったという。

 計画は2021年12月頃に立案され、ノルウェーも協力して、翌年6月に軍事演習「BALTOP22(バルチック作戦22)」を利用して爆弾をパイプラインに仕掛けた。そして、9月26日にノルウェー海軍の偵察機がソノブイを投下し、爆弾を起動させたという話である。

 アメリカは作り話だとして、この記事の内容を否定しているが、このような工作はあり得る話である。日本人は、ロシアからの情報が全て作り話で、アメリカやウクライナからの情報が全て正しいと信じ込んでいるが、両サイドで謀略合戦を行っていることを認識すべきである。

 日本人の情報・諜報能力の欠如は、戦後の平和ボケ、アメリカへの依存と甘えに起因する。これでは、魑魅魍魎が跋扈する国際社会で生き残ることはできない。

舛添 要一 (国際政治学者)

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