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ロシア、ウクライナ関係は複雑骨折、対立越えられる指導者はどこに

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【舛添要一が語る世界と日本(183)】文明の衝突と民族紛争がウクライナの和平を困難にしている

公開日: 2023/02/28 (ワールド)

CC BY-SA 反ウクライナ政府側が占拠したドネツィク(2016年)=CC BY-SA /Andrew Butko

 ロシアのウクライナ侵攻から1年が経つが、停戦の見通しは全く立っていない。

 ウクライナは、戦車も含め、NATOなど西側諸国から軍事支援を受け、反撃を進めている。

 一方、プーチン大統領は、2月21日の年次教書演説でも、軍事侵攻の正当性を主張し、「特別軍事作戦」を継続させることを明言した。

 このように両者が戦闘を続ける方針を明確にしている以上、停戦交渉は不可能であり、戦争は長引くと考えざるをえない。しかし、同時に軍事的に決着させることは容易ではなく、外交交渉で問題を解決させるしかない。

 そのときの最大の問題は、ウクライナ内部の民族対立、「文明の衝突」である。

 ウクライナの東南部はロシア人も多く住んでおり、ロシアとの関係が深く、ロシアは強力に梃子入れしてきた。一方、西部や中部は親西欧派が多く、EUへの加盟を求めた。宗教的な対立もある。こうして、ウクライナの東西で政治的意見も異り、国が二分される状況となった。

 2004年の11月の大統領選決選投票で、親露派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチと親西欧派のヴィクトル・ユシチェンコの一騎打ちとなった。選管はヤヌコーヴィチの当選としたが、ユシチェンコ陣営は選挙に不正があったとして、首都キエフを中心に大規模なゼネスト、デモなどの抗議活動を行った。

 EUなどの仲介で12月に再投票が行われ、ユシチェンコが勝利し、大統領となった(オレンジ革命)。

 しかし、ユシチェンコ与党の「われらのウクライナ」は、2006年6月の最高議会の選挙で惨敗した。その後、政権内部の抗争で、2010年の大統領選挙では、ティモシェンコと対決したヤヌコーヴィチが当選するという結果になった。

 2013年、ヤヌコーヴィチ政権はEUとの政治・貿易協定の調印を見送り、ロシアやその経済圏協力を強化しようとした。そのため、親欧米派が抗議活動を展開し、2014年2月にヤヌコーヴィチは国外に逃亡した。最高議会はヤヌコーヴィチの大統領解任と大統領選の繰り上げ実施を決議した(マイダン革命)。

 親露派政権の崩壊という事態に、プーチンはロシア系住民を保護するという名目でクリミアへの軍事介入を決め、3月には併合したのである。

 東部のドンバス州も大きな問題である。

 この地域では、親露派の分離独立勢力とウクライナ政府の対立が続いている。ロシアが意図するのは、クリミアのように分離独立させた上でロシアに吸収することである。

 ドネツク人民共和国やルガンスク人民共和国に高度の自治権が付与されるだけでは、ロシア系武装勢力は武器は置かないであろう。紛争は続いていく。二度にわたるミンスク合意も功を奏しなかった。

 ウクライナ政府は、国を東西に分割することには反対であり、国土の統一を死守するであろう。

 この問題を文明圏という観点から考えれば、ウクライナ国内での両陣営の対立は深刻であり、妥協点を見出すのは困難であろう。しかし、いつまでも戦争を続けるわけにもいかない。

 妥協のシナリオの第1は、ウクライナが分裂して、二つの独立国となり、東側がロシアに吸収されるというシナリオである。

 これこそプーチンが望んでいることであるが、事態はそのようには進んでいない。ロシアによる侵略は、むしろウクライナ人の統一意識を強めている。

 第2が、両国が良好な関係を維持していくシナリオである。

 歴史上何度も戦火を交えたドイツとフランスは今や和解し、EUの中核となっている。そのように、ロシアとウクライナが和解することによって正教会世界の団結をもたらすことが期待されるのである。

 今は、この理想的な解決とは対極的な状況が現実のものとなっている。ロシア正教会とウクライナ正教会の対立も深刻化している。ロシアと西側の対立を乗り越えられるシナリオを描くことができる国際的指導者の出現を期待したい。

舛添 要一 (国際政治学者)

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