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コロナが加速 米国孤立主義と中国専制が優位の印象

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【舛添要一が語る世界と日本(51)】コロナ制圧で民主主義が専制に勝れるか?

公開日: 2020/08/18 (政治, ワールド)

CC BY CC BY /NASA Goddard Photo and Video(cropped)

舛添 要一 (国際政治学者)

 世界中で、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。

 日本がその典型だが、ヨーロッパでもドイツやフランスやスペインなど軒並みに同じ現象が起こっている。いずれの国の政府も、マスク着用の義務化、大規模集会の禁止などの規制を強化する方針を打ち出している。

 第二波が秋まで持ち越し、冬のインフルエンザの時期に重なると、ダブルパンチで大きな被害が出る。第一次大戦中のスペイン風邪のような様相を呈しつつある。

 ワクチンの開発については各国、各企業が鎬を削っている。ロシアは、すでに生産に成功したと発表したが、効果や安全性を示すデータは示されていない。特効薬となるような薬の開発もまだである。

 このように先の見通しが立たない中で、香港の民主化運動や先端技術をめぐってアメリカと中国の対立が激化している。米厚生長官が台湾を訪問するなど、台湾の行方にも大きな注目が集まっている。

 トランプ大統領によるこれら一連の対中締め付け策は、イスラエルとUAEの国交正常化仲介のように、大統領選挙再選の一環として位置づけることもできる。しかし、新型コロナウイルスの感染再拡大は、第二次大戦後に構築してきた国際関係にも大きな影響を与えつつある。

 人々の生活に「新しい日常」が生まれたように、国際関係にも「新しい力学」が動きそうである。

 第一は、相互依存主義から孤立主義への流れである。

 コロナ感染防止のために水際作戦をとり、国境を閉鎖すること自体がそうである。EU域内では、夏休み前に移動制限を解除したが、これが感染再拡大の一因となっている。

 しかし、国境を越えての人の交流を停止するということは、経済活動を萎縮させる。8月17日に発表された日本の4~6月期のGDPは、年率換算でマイナス27.8%で、これはリーマンショックを超える戦後最悪の落ち込みである。感染防止とともに、経済活動をどのように維持していくのかを真剣に考えねばならないが、緊急事態宣言が解除され、人々の気が緩むと、とたんに感染がまた増えてしまう。

 モノ、カネ、情報は流通するが、人が動かない以上、需要は伸びす、一般的に供給は縮小する。自給自足できる大国はほとんどないが、新たなモンロー主義が台頭しかねない。アメリカがWHOからの離脱を決めたのは、対中締め付け戦略の一環であるが、孤立主義的傾向が高まっていることも背景にある。

 第二は、民主主義社会の統治能力である。

 米ソ冷戦にアメリカが勝利したのは、基本的人権を守る自由な民主主義のほうが、共産党独裁よりも経済的に豊かになったからである。それは、自由がなければ、半導体、パソコンなどの情報先端技術が発展しないと考えられたからでもあった。

 しかし、専制国家、中国は違った。コロナ対策でも、強権を発動して徹底した検査と隔離と監視を行い、ウイルス鎮圧に成功している。その際に活躍しているのが、顔認証などのアプリであり、この分野で世界最先端を行っている。5GやAIの分野で急速に国際競争力を強めており、トランプ政権は、それを抑え込むのに躍起となっている。ファーウエイなど5社の製品や部品を使う企業との取引禁止措置など、次々と手を打っている。

 コロナとの戦いでも、アメリカのコロナ感染拡大は世界最悪であり、感染を収束させた中国のほうが優位に立っている。

 これから、第二波、第三波と感染が拡大すれば、感染を恐れる人々は自由奔放な民主主義社会よりも専制主義を選択するかもしれない。それは、ジョージ・オーウェルの『1984』などが描くディストピアの到来となる。しかし、中国は大多数の国民にとっては、「幸福な監視国家」なのである。

 世界をパックス・シニカ(中国が支配する世界)に向かわせないためには、民主主義社会は新型コロナウイルスのこれ以上の拡大を抑えなければならない。
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