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大統領選後 暴動発生への警戒強まる

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【藤和彦の眼】「影のCIA」が、さらなる分断の危機と指摘 未曽有の危機に直面か 

公開日: 2020/10/14 (ワールド)

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藤 和彦 (経済産業研究所コンサルテイング・フェロー)

 10月12日付け米USATODAYは「新型コロナウイルスの感染拡大と大統領選を目前にした不安から、国民の半数以上が既に食料品を始めとした必需品を買いだめしていたり、今後買いだめする計画を有している」と報じた。

  10月9日付けロイターも「一部の米国民は11月3日の大統領選後に暴力沙汰が起きることを懸念し、自分たちの地域社会で騒乱が起きないよう監視するグループづくりに動いている」と報じていた。

  米大統領選が近づくにつれ、「Qアノン」という過激な陰謀論を信奉するカルト集団にも注目が集まるようになってきている。Qアノンは、2017年10月にハンドル名Qを名乗る人物が、匿名画像掲示板4チャンネルに投稿した文章がきっかけとなって誕生した(アノンとはアノニマス(匿名)の意味である)とされており、SNS(交流サイト)とダークウエブ(匿名性の高い闇サイト)の中で急成長した存在である。

 Qアノンの支持者の多くは熱狂的なトランプのファンであり、「腐ったエリート」に猛反発している。彼らは「トランプ大統領は、米国を事実上支配する『デイープステート』という悪魔のような勢力を一掃できる唯一の希望である」と信じている。

  デイープステートはもともとウクライナやコロンビアなどに存在した、組織犯罪グループと結託した軍や治安機関などを意味する用語だったが、現在の米国では「政府のエリートと金融や産業界のトップが結託して、政治を陰で操り、私欲をこやしている」という文脈で使われることが多い。
 
   多くの米国民は、Qアノンはとるに足らない一派と捉え、その脅威を真剣に受けとめていないが、米連邦捜査局(FBI)は昨年、Qアノンについて「国内テロの脅威とみなすすべての要素がそろっている」と結論づけている。「11月の米大統領選で、Qアノン支持者にとっての救世主であるトランプ大統領が敗北すれば、彼らは暴動を起こし、米国は大きな危険にさらされる」と懸念する専門家もいる(9月18日付日本経済新聞)。

   大統領選自体の勝敗よりも、米国の分断が大統領選を通してさらに深刻化する懸念が生じているのである。「人は孤立して不安な状態になると陰謀論を信じやすくなる」として、新型コロナウイルスのパンデミックをQアノンが急拡大した要因とする見方がある(10月1日付BUSINESSINSIDER)が、世界の覇権国である米国はいったいどうなってしまうのだろうか。

  「2016年に始まった嵐は2030年代まで終わらない」 

 このように指摘するのは、米国の地政学者であり、「2020-2030 アメリカ大分断 危機の地政学(早川書房)」の著者ジョージ・フリードマン氏である。フリードマン氏は、1949年ハンガリーで生まれたが、共産主義政権の弾圧から逃れるため米国に移住した。ルイジアナ州立大学地政学研究センター所長などを経て、1996年に世界的なインテリジェンス企業「ストラトフォー」を創設した。同社は、政治・経済・安全保障に関わる独自の情報を各国の政治機関などに提供し、「影のCIA」の異名を持つ。
 
   筆者は、地政学の手法を駆使しながら21世紀の世界の覇権の構図を予言した「100年予測(2009年)」を読んで以来、フリードマン氏の分析に注意を払ってきたが、今回の著書(2020年2月に米国で出版)は米国の将来そのものに焦点を当てており、極めて興味深い内容となっている。

  フリードマン氏が注目するのは、米国で建国から現在に至るまでの「制度的サイクル」と「社会経済的サイクル」である。「制度的サイクル」は、連邦政府のあり方に関わるものである。第1サイクル(独立戦争~南北戦争)と第2サイクル(南北戦争~第二次世界大戦)がそれぞれ約80年周期であることに注目したフリードマン氏は、「1945年に始まった第二次世界大戦後の第3サイクルは2025年頃に終わり、次の第4サイクルに入る」と主張する。

  もう一つの「社会経済的サイクル」は、社会と経済の関係に関わるもので、テクノロジーの発達などに左右されるという。第1期のワシントン周期(1783~1828年)、第2期のジャクソン周期(1828~1876年)、第3期のヘイズ周期(1876~1929年)、第4期のルーズベルト周期(1932~1980年)がそれぞれ約50年続いてきたことから、「1980年に始まった第5期のレーガン周期は2030年頃に終わり、次の第6周期に入る」としている。

  それぞれのサイクルの終盤には制度疲労や社会的混乱が目立ち、米国衰退論や悲観論が支配されるようになる。フリードマン氏によれば、一つ前のサイクルが終わりに近づきつつあった1960~70年代の米国社会は様々な出来事によって引き裂かれ、現在以上に深刻な状態にあった。ベトナム戦争、石油危機後のスタグフレーション、人種間の激しい緊張、キング牧師など著名人の暗殺、ニクソン大統領の辞任などが相次いで起こり、多くの国民は「米国は衰退どころか崩壊へと突き進んでいるに違いない」と考えていたが、振り返ってみると、水面下では次のサイクルへの準備が進んでいたという。

  「米国はこれまで危機を乗り越え、新たな自信と繁栄の時代を取り戻してきた」と米国の将来に対して楽観的なフリードマン氏だが、「次の『危機』は米国の歴史上初めて2つのサイクルの変換期が重なる(2025年頃と2030年頃)ことから、これまでで最も厳しいものになる可能性が高い」と警戒している。
  米国は、未曾有の危機を乗り越えることができるのだろうか。
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藤 和彦(経済産業研究所コンサルテイング・フェロー)
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣参事官)。2016年から現職。著書に『原油暴落で変わる世界』『石油を読む』ほか多数。
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