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ウクライナ停戦の舞台裏

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停戦合意はプーチンにとって渡りに船? 戦争の陰にちらつく投資ファンドの思惑 森岡英樹

公開日: 2015/02/20 (ワールド)

Reuters Reuters

森岡 英樹 (経済ジャーナリスト)

 ウクライナ東部で2月15日、同国とロシア、ドイツ、フランスの4カ国首脳がまとめた合意に基づき、政府軍と親ロシア派の武装勢力による停戦が発効した。しかし、依然としてウクライナ軍の戦略的な要衝であるデバリツェボ周辺では戦闘が継続されており、停戦監視団は現地入りすることができないでいる。焦点となる重火器の撤去も見込めず、停戦合意は雲散霧消しかねいない深刻な状況だ。

 今回の停戦合意はロシアのプーチン大統領にとって、ウクライナを従属させるという中期戦略の後退を意味しかねない、内政的にも難しい選択だった。それでもプーチン氏が停戦合意に踏み込まなければならなかった背景には、OPEC(石油輸出機構)の減産見送りに端を発する原油価格の急落がロシア経済を蝕んでいる苦しい台所事情がある。ウクライナ内戦に介入し続ける限り、欧米による経済制裁は解けず、最大の外貨獲得手段である石油・天然ガス等の輸出は見込めず。自国通貨ルーブルの下落に伴う物価上昇も懸念された。

 そうした仮初めのウクライナ停戦の舞台裏で暗躍している米国の投資ファンドがあることはあまり知られていない。ウクライナ国債の信用力を表すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ・5年国債)は、停戦合意直前の2月上旬には3000べーシス・ポイント近くまで高騰した。ウクライナ国債はいつデフォルトしてもおかしくないと認識される水準だが、意外にも果敢にウクライナ国債を買い上げる投資ファンドの存在があった。米投資運用会社フランクリン・テンプルトンだ。

 新興国のエキゾチック投資を得意とする同ファンドは、ウクライナ国債の価格が急落する過程で買い向かうことで、停戦合意直前にはウクライナ国債の発行残高約100億ドルのうち、実に9割近い88億ドルも保有していることが明らかになっている。デフォルトすれば紙屑、切り返せば大儲けという究極のリスク投資。テンプルトンは停戦合意に賭けたわけだ。

 読みは見事に的中する。プーチンは欧米の働き掛けに応えて停戦合意に踏み込み、IMFは175億ドルものウクライナ支援融資を決めた。ウクライナ国債の信用力は急回復し、テンプルトンは巨額な利益を手にしたとみられている。

 ロシアはウクライナに対しエネルギー関連をはじめとする巨額な債権を保有している。ウクライナがデフォルトすることになればロシアは巨額な損失を被りかねない。停戦合意はプーチンにとってもIMF支援を引き出す渡りに船だったわけだ。テンプルトンがつけ込む余地はまさにここにあった。米国のオバマ大統領もウクライナ支援に積極的であったが、背景には投資ファンドからの働きかけがあったとみるのは深読みすぎるであろうか。

 米投資ファンド・テンプルトンはユーロ危機に際して同じようにデフォルト危機に瀕したアイルランド投資で大儲けしている。いつの時代も戦争の陰には強欲な投資家の存在がちらつく。
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森岡 英樹(経済ジャーナリスト)
1957年生まれ、 早稲田大学卒業後、 経済記者となる。
1997年米国 コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年 4月 ジャーナリストとして独立。一方で、「財団法人 埼玉県芸術 文化振興財団」(埼玉県100%出資)の常務理事として財団改革に取り組み、新芸術監督として蜷川幸雄氏を招聘した。
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