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とまらぬ恐怖政治 金正恩氏最側近も「地方送り」

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最側近の崔竜海氏、葬儀委リストから漏れる 

公開日: 2015/11/14 (ワールド)

崔龍海氏(左)=Reuters 崔龍海氏(左)=Reuters

五味 洋治 (東京新聞論説委員)

 「金正恩氏の最側近は、どこにいるのか」―北朝鮮ウッチャーの間では今、この話題で持ちきりだ。著名な軍人の葬儀委員会名簿に、金正恩第1書記の最側近の1人、崔竜海党書記(政治局員)が含まれていなかったためだ。韓国では「崔氏の担当する部門が不振なため、地方の農場で再教育を受けている」との情報も流れている。金正恩氏は幹部たちの地位を突然奪う「恐怖政治」で権力固めを進めているようだ。

 死去したのは李乙雪・労働党中央委員。7日に肺がんのため死去し、金第1書記を委員長とする国家葬儀委員会が設置された。李氏は元抗日パルチザンで、人民軍元帥という有名人物だった。

 北朝鮮では、重要人物が亡くなると葬儀委員会が組織される。韓国政府は、その名簿の序列から、権力の変動を読み取っている。
 ところが、今回、名簿に大きな変化があった。崔竜海氏の名前が見当たらなかったのだ。その後も公の場に姿を見せていない。

 崔氏の父親は崔賢・元人民武力部長で、パルチザンだった。パルチザンとは、北朝鮮の建国のため、金日成氏とともに野山に身を隠して当時の日本軍と戦った人たちのことを指す。北朝鮮で「革命世代」として最も尊敬される人たちだ。

 すでに故人となっている崔賢氏は、正恩氏の祖父である金日成主席から特に信頼されており、「主席にぞんざいな口を利いても許される、唯一の人物」とも言われていた。

 ただ、息子の竜海氏は、パルチザン2世という立場を利用して、放蕩していたようだ。

 韓国に逃げた多くの脱北者の証言によれば、若い頃には女性やカネをめぐるスキャンダルがあった。

 しかし、父親の威光によって、金正恩体制発足とともに、正恩氏の後見人の1人となった。人民軍の思想統制などに当たる「総政治局長」などの重要ポストについた。

 総政治局長のポストは、黄炳瑞党第1副部長に譲り、粛清の噂が何回か流れたが、今年9月に行われた中国の抗日戦勝利70年式典では、北朝鮮代表として訪中した。だが、中国の指導層とは会えなかった。

 それでも、10月の、朝鮮労働党創建70周年行事では、訪朝した中国の序列5位の、劉雲山政治局常務委員と会談した。そこでは、中朝関係発展を約束するなど、正恩氏の側近としてしぶとく生き延びていた。

 粛清説が報道されると、韓国の情報機関が12日、オフレコで記者たちと会い、崔竜海は役職を解任され、地方の協同農場で、革命化教育を受けているとみられると説明した。独自ルートで確認した内容だという。

革命化教育は農村や炭鉱などで労働しながら思想改造を受けるもので、北朝鮮の政権幹部に対する処罰の一種だ。

 彼が受け持っている組織である「青年同盟」の成果が振るわないことについて責任を取らされた、という見方も出ている。

 韓国の情報機関、国家情報院は、金正恩氏が執権以来3年間で80人近い幹部を粛清してきたと発表している。

 最近では玄永哲人民武力部長が4月に粛清されたと伝えられている。北朝鮮は玄氏の粛清を認めていないが、現地からの報道から完全に姿を消しており、粛清は間違いない。
崔竜海氏は、パルチザンの息子という名誉ある地位のおかげで、今のところ粛清は免れているようだ。

 11月13日に発行された韓国の外交白書2015年版は、金正恩体制について「党・軍の主要人物を交替させ、地位の降格、回復を通じてエリート間の忠誠競争をあおっている」と分析した。

 崔竜海氏の再教育も、こういった「恐怖政治」の一環とみて良さそうだ。


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五味 洋治(東京新聞論説委員)
1958年生まれ。中日新聞社入社後、韓国延世大学留学。ソウル支局、中国総局勤務を経て、米ジョージタウン大学にフルブライトフェローとして在籍。著書に「父・金正日と私ー金正男独占告白」など。
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