3日に北京で行われた抗日戦争勝利70年の式典について日本政府は、「反日の色彩が強すぎる」として、安倍晋三首相はもとより、在北京大使館の幹部も参加しなかった。
式典の性格には問題があるにせよ、2009年以来となる軍事パレードで、中国人民解放軍の実力が、かなり浮かび上がった。さらに脅威になるのだろうか。
式典は日本時間の午前11時過ぎから始まった。まず習近平主席が演説。習主席は続いて、車に乗ってパレードのため待機していた軍人たちに、「同志たち、ご苦労様」と声をかけた。
新中国の建国から現在までに、14回の国慶節(建国記念日・10月1日)閲兵式が行われている。
中国側の事前の説明では、今回の軍事パレードには、約1万2000人の兵士が参加し、40種以上の型式の装備が500装備あまり、20以上の型式の航空機が200機となっていた。
武器装備類は全て国産で、その84%が今回初めて公開されるものだという。中でも注目を集めたのがミサイルだ。
初めて公開されたものに「DFー26」がある。「DF」は東風の頭文字で、射程はグアムまで届く約4000キロ。核弾頭も搭載可能とされる最新鋭のミサイルだ。
DFー16も初公開された。射程は1000から1500キロで、日本全土に届く能力がある。中国の軍事サイトには、「このミサイルは、日本にあるすべての米軍基地を射程に収めた」などと誇らしげに書かれている。
DFー5Bは、米国全土を射程に納める大陸間弾道ミサイルで、巨大で、ずんぐりとした姿が中国のテレビに映し出された。
中国は1960年に射程距離600キロのミサイル「東風ー1」を開発して以来、これまで20種類余りの長・中・短距離「東風ミサイル」を開発している。
空母艦載機「殲(せん)15」も、初公開された。中国が独自開発したもので、中国初の空母遼寧に配備された。昨年テスト飛行中に墜落事故があったと報道されたが、量産体制に入っているのかもしれない。
超音速の対艦ミサイル「yjー12」にも関心が集まっていたが、公開されなかったようだ。このミサイルは、射程が世界最長の400キロとも言われており、完成すれば相当の脅威になると見られていた。
中国の兵器に詳しい専門家は、「個々の兵器の性能は、不明な部分が多く、これから分析が必要だ」と前置きしたうえで、「全体的には防衛的な兵器が多い印象。着実に能力は上がっており、南シナ海などで簡単に中国軍に接近できなくなるだろう」と話している。
軍事的脅威 見せ付けた中国 |
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公開日:
(ワールド)
Reuters
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五味 洋治(東京新聞論説委員)
1958年生まれ。中日新聞社入社後、韓国延世大学留学。ソウル支局、中国総局勤務を経て、米ジョージタウン大学にフルブライトフェローとして在籍。著書に「父・金正日と私ー金正男独占告白」など。
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